区長コラム:「2030年を生きる子ども」のために、今考えること。


 こんにちは、生野区長の山口です。

 暑くなってきましたね。私も自転車通勤が少々厳しくなってきましたが、日焼け止めをせっせと塗って通っています!特に外で活動する際には、くれぐれも熱中症に気をつけてください。


 今日は、土曜日に産経新聞で大きく取り上げられていた「生野区西部地域学校再編整備計画」について、少しご説明をさせてください。
 http://www.sankei.com/west/amp/170617/wst1706170022-a.html

 この記事は、区政会議に出席していた記者の方が書かれたのですが、私から「夏には教育内容の方向性、通学の懸念や跡地利用について示す」と明言したことには触れられていません。全く説明が無いかのように書かれており、区政会議後の、私や区担当者への取材もありませんでした。


 夏に「再編計画も含めて『生野の教育』を示す」という見解は、5月の市議会でも答弁しています。この点については、非常に残念だと思っています。


 この機会に、学校再編についての私の思いを書かせてください。


 私は、140年以上の伝統がある小規模校の校長を3年間やってきました。
 
 
私が3年間を過ごした浪速区の小学校は、都会の中の小規模校でした

 日本中の学校がそうだと思いますが、今目の前のこどものことを考えた時、どんな環境であれ「自分の学校が一番」と思い、ベストを尽くします。私自身、過去の校長時代のブログや連載記事でも小規模校の良さを伝えていました。こどもも保護者のみなさんにも「いい学校」だと思ってもらえるよう、がんばるのが現場です。



 しかし、内情では大量退職大量採用の時代で若手教員が増え、学校の業務負担が増える中での単学級の苦しさや、こども達の世界が狭くなってしまうことは感じていました。やはり、人数が少ない学校、特に単学級はしんどい。そして、このまま減り続ける中で何も手を打たずにいたら、さらに減ってしまう。


 生野区長となり、学校再編の課題を児童数の減少予測と共に向かい合い、学校回りをして校長としての視点も踏まえて話を聞くにつれ、やはり「このまま無策ではいけない」と強く感じています。反対意見ばかりではなく、「早く進めてほしい」という意見も聞いています。


 市の方として、今まで全く説明がなかったわけではなく、私が来る前にも一定の説明はありました。


今年度の2月に以下のパンフレットは区として示しています。
http://www.city.osaka.lg.jp/ikuno/page/0000395050.html


通学路や跡地についてのQAも示しています。
http://www.city.osaka.lg.jp/ikuno/page/0000343286.html#faq


 一方で、記事にある通り「教育内容」について説明が今までできていなかったのは事実です。その点については、繰り返しお伝えしているように夏に示す予定でいます。


 私は、区担当教育次長でもあり、元学校長であり、教育委員会にもいた人間であり、また、小4と5歳の子を持つ母親でもあります。


 不安に思う保護者の方の思いはもっともで、メリットもデメリットも、再編をした場合もしなかった場合もどちらにもあります。それを理解していただける形で示せてこなかったことは、この数年間の説明においての反省点だと思います。


 そして、議論をする上で、そもそもの「いい学校・教育環境」の定義もバラバラです。だから、まずは議論の叩き台となる案を出させてほしい。その点については明言をしていますので、今回の記事はやや一方的で残念でした。
 

 あとは、私が区政会議の全体会で発言をした内容をそのまま掲載しておきます。


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 全員ひとり一人の地域、それから保護者いろんな思いがあると思うんですけど、全員に100%の正解がないというのが、この学校再編の問題だと思っています。


 その中で、やはり子どもたちがどうしたらよりよい大人になっていくのだろうか、よりよい学びとは何だ、いい学校とは何だというそういう話を、まずソフト面という話が全然できていなかったと思うので、生野の子たちを幼稚園・保育園からつないでいって、そしてどんな小学校でどんな風に過ごして、どんな中学校にどんな風につないで、どうやって高校につないで、そして社会に出して、この変化の激しい世の中で生きていける子どもにするんだということについて、私は今、一生懸命、学校回りもしながら話をしています。


 そして、私は当然、まち全体のことも考えなければなりません。防災面であるとか、それぞれの地域の安全面といったこととか、土地のことも真剣に今考えていますし、やはり細かい情報、ほかの自治体ではどうなの、似たようなところでどんな事例があるの、どんな手があるのということは、たくさんの情報を集めて、みなさんに夏に、やはり何も無い状態で話しても話にならないので、お示ししたいと思っています。


 叩き台というか、お見せするものがあって始めて、みなさんにまた意見を細かくいっていただけると思います。それを聴きながら、形を作っていけたらと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。


〔6月1日 生野区区政会議全体会にて〕


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 私が残念に思うのは、この思いが伝わらないままに、生野区の保護者のみなさんや子どもたちを不安にさせるだけの記事が出てしまったことです。


 情報を読み解く力、メディアリテラシーを学校で教えてきた立場としても、今回はこの場を借りて、区政会議での発言を掲載させてもらいました。また部会も含めて、全文が掲載されましたらお知らせします。
 
 みなさんもこの機会に、次期学習指導要領がめざす「2030年を生きる子ども」をイメージしながら、いい学校、いい教育とは何かを話し合っていただければと思います


 この問題を預かった以上、教育に関わってきた人間として、そして生野区のまちづくりを担う立場として、真剣に、誠実に向き合っていきます。
 


 どうぞよろしくお願いします。




 〔発信:区長 山口照美〕

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